円福友の会 途上国支援について
今、円福友の会が行っている支援は次の通りです。
一. タイ バンコクスラム 奨学生支援(教育里親)
プラティープ・ウンソンタム・秦さんが、スラムの子ども達を教育で救い自立を目指す活動として、プラティープ財団を設立されました。1978年のことです。
円福友の会は、1990年代から毎年50万円を贈り、15名の奨学生を支援しています。奨学生は、毎月の「圓福」で紹介します。
私は、昨年のカンボジア旅行の折に、プラティープ財団を訪問し、プラティープさんや奨学生と会ってきました。バンコクのスラムとスラムの学校を視察するとともに、スラムで育った「模範的な青年」表彰式典に出席してきました。
二. 円福友の会建設小学校校舎の再建
円福友の会は笠原尚夫様や篠ノ井ライオンズクラブの協力を得て、内戦終了前の1994年にプノンペンから自動車で二時間ほど離れた、カンポット県に小学校を三校建てました。
平成26年(昨年)にそのうちの、タプル校とプレイクチェイ校を訪問しました。
両校とも、非常に荒れていました。特にプレイクチェイ校は、5教室のうち3教室は瓦の破損による雨漏り、白アリ被害、板壁の破損、机の穴などで使えない状態でした。そして、外に回ると、板壁があちこちで割れたり落ちたりしていました。
たった20年でどうしてこんなに傷んでしまったのだろう。
昨年の訪問時に、「行くと、建て直してくれと言われるぞ」と忠告を受けました。でも、父が建てた学校に行きたかった。まさか、20年でこんなにもぼろぼろになっているとは思いませんでした。
SVAや現地の人の説明は
熱帯の暴風雨が厳しくて、屋根や壁に穴が開く。
屋根は、瓦が脆いので、上ると壊れてしまい、修理できない。
温度が高いのでシロアリの活動が活発で、被害が酷い。
でした。
でも、傷みが小さなうちに修理しないのは何故だろう、板壁が割れたり剥がれたりしているのをそのままにしているのは何故だろう、白アリの巣があんなに大きくなるまで放置しているのは何故だろう。疑問が残りました。
1年間、どうしようかと悩みました。私の見立ては、壊して新築しかないと思えました。父が遺した校舎が崩れるのを放置するのはできません。しかし、円福友の会に、コンクリート校舎に建て替えられるだけの資金はありません。しかも、この様子では建て替えても修理しませんから、すぐに傷んでしまうでしょう。そして、建て替えるだけでは、カンボジアの人々の寄附依存症を増すだけです。
今年の訪問で光が見えました。
SVAカンボジア事務所のテクニカル・サポート・コーディネーター(エンジニア)のSAMYさんと意見交換することができました。彼は、リフォームができると言います。あれだけ壊れていても、リフォームができるとは驚きました。リフォームは、コンクリート校舎の新築の半分以下の費用で出来ます。屋根はトタン張り、板壁は傷んだ板を取り換え、継ぎ足して白いペンキを塗ります。校舎の周囲はコンクリートを敷設して、白アリや湿気を防ぎます。こうして修復したバッタンバンの校舎の写真を見せてくれました。修復後8年ですが傷みは見えず、白く新しい校舎に生まれ変わっていました。
これで行こうと思います。しかし条件があります。
- ① 修繕を怠らない。定期的にペンキを塗り、白アリ防腐剤を塗り、壊れたら(子どもが壊したら)すぐに直す。
- ② 幾分かでも、地元負担をする。地元負担により、自分たちがつくった校舎という意識が生じると思います。
- ③ その他、校舎を自分たちで維持するためにできることを提案してもらう。そして実行してもらう。
- ④ 別のカンボジア人に、校舎維持を定期的に点検してもらう。
カンボジアのある人に聞くと、彼が通った小学校は定期的に保護者に壁板を持参してもらい修理する、屋根は瓦を壊さないように外して空いた穴を修繕できる、子どもが壁板等を割ったら親を呼び出して元通りに修復させる。これを聞くと、両校の関係者の話は、修繕しなかったことの言い訳のように聞こえました。
1月末に一人で訪問し、話し合う機会を持ちます。
なお、リフォームについては二社以上の見積をとります。そして契約します。何しろ、カンボジアは汚職ワーストワンの国ですから。
三. エコ村支援
エコ村は、世界遺産プレアビヒア寺院の山麓に、タイとの国境紛争で焼け出された人々や、国境警備の兵隊さんや、地雷除去に働く人々が住むために国がつくった新しい村です。
プレアビヒア寺院が世界遺産に指定されてまだタイとの国境紛争があった平成21(2009)年に、この地域の開発のプロジェクトチームがつくられました。日本からは東京大学の六人の教授が参加し、そのリーダーが当時大学院国際開発研究室の教授だった吉田恒昭氏でした。カンボジアオーソリティ、プノンペン大学、セダックと共同の作業に、たまたま私も誘われて同行しました。確か、1泊15ドルの宿に数泊して、市場や村や農村の中を歩き回った思い出に残る毎日でした。
吉田恒昭氏は東京大学を退職して、エコ村の開発支援をライフワークにすることを知りました。円福友の会も協同した支援はできないだろうか、これがエコ村支援の発端でした。彼のリーダーシップに、2009年に同行したソファットさんが現地ディレクターになって加わり、パンニャサストラ大学の松岡氏も加わって、少しずつ支援が進んでいます。その内容は、圓福でも紹介してきましたが次の通りです。
- ① 農家の生活の改善及び農業支援として、深井戸の設置(これまで10本)井戸は、共同で使いコミュニティのセンターとなることを期待しています。
- ② エコ村ナチュラル小学校支援
(ア) 井戸設置(飲料水、農業用水用)
(イ) トイレの新設(生活、衛生の改善)
(ウ) プロジェクト農場設置 マンゴー植樹等 地元の人による児童の指導。児童が農業を身に付けて、地域一帯に広める
(エ) 児童との交流 パンニャサストラ大学生による交流(歌、理科実験)教育支援 教育により子どもに力をつける。
教育により子ども達に自立の力をつけることを目指します。地元の人による支援を前面にして、円福友の会は後方をサポートします。
今年は、コミュニティスクールも視察しました。コミュニティスクール支援も視野に入れる必要があるかもしれません。
四. カンボジアSVA支援
カンボジア訪問の折に、カンボジアSVA支援金を贈っています。今年は、スラム支援金も贈りました。
支援金で学校訪問や子ども達との交流に様々な便宜を図っていただいています。子ども達へのプレゼント品も現地で調達していただきました。
SVAと共同で進めている事業
- ① カンボジア小学校 箸ピー大会(国際箸学会会長の小宮山栄様が今年のツアーに同行してくださいました。)
- ② 絵本や紙芝居の読み聞かせ、ゲームの支援
- ③ その他
円福友の会は、地元民の自立自助の力を引き出す支援に徹します。